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自然災害による物流業界・製造業の被害
関西空港の倉庫に大打撃を与えた台風21号
2018年9月に関西地方を中心に襲った台風21号の影響で、交通網や電力などのインフラが大きなダメージを受けました。関西空港内の倉庫では浸水の被害が発生し、多くの貨物に打撃を与えました。また、ある物流センターでは建物の一部が破損し、商品の一部が水濡れする被害に。その他にも倉庫のシャッターや屋根が破損するなど、至るところで多くの被害が出ました。
日本で起こっている物流被害は、台風によるものだけではありません。地震や津波、竜巻や積雪、豪雨や落雷による被害も考えられます。いつどこで起こるか予測できないのが自然災害の恐ろしさです。
物流被害を最小限に食い止めるには、頑丈かつメンテナンスしやすい倉庫が必要になります。
物流業界の倉庫事情
いつ起こるかわからない地震・大雪・大雨などによる自然災害。その影響により、普段の点検ではなんともなかった倉庫が崩壊してしまうケースが多発しています。災害対策をしようにも、普段の業務で手が回らず後回しになっているのが現状。そうして実際に災害が起きたときには、生産ラインの停止や人的被害により、大きなコストがかかる結果になってしまいます。
自然災害による倉庫の倒壊・破損、それに伴う保管商品や物流への影響を最小限に抑えるには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。倉庫の種類によって、メンテナンス時に気をつける点が異なります。
自然災害に備えたプレハブ倉庫のメンテナンス
プレハブ倉庫は安さが魅力ですが、手軽に建てられるので、倒壊・破損の被害報告件数が多い倉庫です。とくに強風で屋根が飛んでしまう被害が多いため、屋根のメンテナンスを重点的に行うのがベター。錆や釘の浮きがないか、定期的にチェックしましょう。また、屋根の材質をトタンより丈夫なガルバリウム鋼にすることで、耐用年数が長くなります。
自然災害に備えたテント倉庫のメンテナンス
テント倉庫は工期が短くて手軽に建てられますが、テント膜は時間が経つにつれて劣化してしまいます。多少の劣化ならテープを貼るだけで補強できますが、メンテナンスをせずに放置したままでは自然災害の被害を避けられないでしょう。設置場所の自然環境や、固定式・伸縮式などのテントの種類、使用状況にもよりますが、設置から10年を目安にメンテナンスを行うのがベストです。
自然災害に備えたシステム建築倉庫のメンテナンス
システム建築倉庫は被害件数が少ない倉庫。しかし、大きな地震で倒壊した場合は、屋内の照明や窓ガラスが割れる、シャッターが破損して荷物を取り出せなくなるなどの問題が生じる可能性があります。被害を最小限に抑えるために、ガラスや照明、シャッターなど細かな部分までメンテナンスを行ってください。
物流被害後の再建に向いている倉庫は?
自然災害により倉庫が倒壊して物流被害が生じた際は、倉庫を再建しなければいけません。しかし、災害後は多くの問題が待ち受けているため、倉庫建築の依頼から建て直しまで、かなりの時間がかかってしまいます。
再建の際に役立つのは工期が短いテント倉庫。骨組みに合わせてシートを張るシンプルな工法なので、建設時の工期を短縮することができます。500~1,000m2規模のテント倉庫であれば、最短2ヶ月で完成でき、建設コストも抑えられるでしょう。
丈夫なテント倉庫を建てるには「被膜」が重要
テント倉庫は独自の構造や設計で軽量な素材を使うことで、基礎工事のボリュームを減らし建設コストを削減できるようになるため、膜構造の選び方が重要です。適切な膜構造で建築することで工事ボリュームを低減し、大幅な工期短縮も実現できます。
テント倉庫の魅力はそれだけではありません。膜材は下部躯体への荷重を軽減する役割があり、下部躯体の挙動に追随しやすい柔軟さを持っています。軽量ながら強靭で弾性回復力も高いため、建築材料の屋根材として適切です。
台風や大雨、大雪などによる災害から完全に資材を防ぐことはできませんが、半壊や倒壊などによる再建設にかかるコストを安く抑えられるでしょう。
また、被膜タイプは太陽光を透過する役割があるので、昼間は室内の照明が不要。消費電力を抑え、ランニングコストの削減にもつながります。
倉庫内は、夏は暑く冬は寒くなってしまいますが、二重膜システムを採用することで温度調節が可能です。内幕や換気扇との併用で外気温度と同じ程度に調節できます。
テント倉庫を選ぶ際は、耐久性が高く照明コストを削減できる透光率の高い素材を利用した膜材テントの採用がおすすめです。
被膜にこだわったテント倉庫会社
被膜テント倉庫は建設コスト、ランニングコスト、工期の削減に優れていることがわかりました。ただし、それだけでは対策万全とは言えません。建物と同じく、テント倉庫は経年劣化や風化してしまうもの。劣化が進むと、強風や台風などによって倒壊したり飛散してしまったりするおそれがあります。膜材においても定期的なメンテナンスを行っているテント倉庫会社に依頼することが大切です。さらにどんなトラブルにも対応できる、アフターフォローが充実したテント倉庫会社を選びましょう。
自然災害に備えて加入しておくべき保険
自社倉庫を所有している場合、保険に加入することで自然災害による損害を最小限に抑えられます。事前に加入しておいたほうが良い代表的な保険をまとめているので、参考にしてみてください。
動産総合保険
動産総合保険は、自社で保管・運送している原材料・商品・在庫品・現金・小切手などを守ってくれる保険です。台風や地震、積雪や雨漏り、落雷など、自然災害による被害はもちろん、ガス爆発や盗難、不注意の事故による損害も対象となります。補償される内容は以下です。自社倉庫を持ち、商品を保管しているなら、必ず加入しておいたほうが良いでしょう。
- 自社で保管・運送している動産(※自動車・船舶・航空機・組み立て中の機械を除く)
- 損害の拡大を防ぐ費用
- 解体・片付けにかかる費用
- 損害対応のためにかかる臨時費用(宿泊費・交通費など)
物流総合保険
自社で保管・運送・加工している原材料・部品・製品・半製品を守ってくれる保険です。台風や地震、積雪や雨漏り、落雷など、自然災害による被害はもちろん、爆発事故や盗難による損害も補償される点は動産総合保険と同じです。
物流総合保険は保管品や運送中の動産に加え、加工中の製品も補償の対象となるのが魅力。ただし、動産総合保険と違って現金や小切手、高級品などは補償対象外です。生鮮食料品の補償範囲に関しても制限があるため、倉庫で保管している動産が保障の対象になるか事前に確認しておくことをおすすめします。
- 自社で保管・運送している動産(※自動車貨・紙幣類・地金・有価証券・1点30万円以上の高級品などを除く)
- 解体・片付けにかかる費用
- 損害対応のためにかかる臨時費用(宿泊費・交通費など)
- 検査費用保険金
火災保険
自社倉庫を不慮の事故や災害から守るために有効なのが火災保険です。「火災」保険とは言いますが、火災以外の災害や事故による損害でも補償を受けることは可能です。
- 企業の持つ資産の損失:災害や事故によって直接的に被害を受けた建物や物品を補償します。動産総合保険や物流総合保険では補償されません。
- 会社が休業している期間の利益:被害を受けた建物が使えない間に出るはずだった利益分の補償を行います。動産総合保険や物流総合保険では補償されません。
- 盗難された現金・貴金属:現金や貴金属が盗難された場合、その金額相当の補償が行われます。
- 借りている建物に被害が出た際の損害賠償額:借りている建物の損害賠償が保障されます。動産総合保険や物流総合保険では補償されません。
テント倉庫は「災害時」にも役に立つ!
法律で定められた耐震設計
テント倉庫を建築する際には、法律で定められた耐震設計をクリアする必要があります。災害時、緊急を要しているとはいえ法律で定められていない建築基準の建物は、建設できません。
スピード感を求めて法律を無視して建てた建物が、再度の震災で何らかのトラブルに見舞われる可能性もあるからです。その点、テント倉庫は、耐震性もしっかりと考慮しているため、いざという時、空いている土地さえあれば臨時で建設できるのです。
短期間での設営ができる
テント倉庫の魅力の一つに短期間での設営可能な点が挙げられますが、災害時、すぐにでも何らかの建物をと考えた時、実はテント倉庫の特徴と建物の需要がマッチします。法律面での問題もありませんし、スピーディーに建築できることから、短期間であれば、避難所として機能します。
避難先や待機場所をと考えた時、特に災害時は一刻も早く場所を用意することが求められますが、テント倉庫であればそれも可能なのです。
プライバシーにも配慮出来る
テント倉庫はスピーディーな建築が可能ですが、耐震設計であり、かつ仕切り等もありますのでプライバシーも問題ありません。災害時、避難生活者は緊急避難場所で生活を送れる点はありがたい一方で、プライバシーの無い生活を強いられることにストレスを感じるケースも珍しくありません。段ボール等で簡易的な仕切りを作り、何とかプライバシーを確保している避難者の姿はニュース・報道等でも見かけるかと思いますが、この問題もテント倉庫が解決します。
災害時のテント倉庫の利用事例
災害時の多目的テントとは?
災害時に多目的テントとして活用が可能です。災害時はとにかくすぐにでも「建物」「避難できる場所」を考えなければなりませんが、テント倉庫であればスピーディーな建設が可能。また、コストも安いので一時的な需要ではあっても建築コストの無駄を軽減することができます。
災害時に役立つ緊急医療・医療用多目的テントとは?
緊急医療の際にもテント倉庫が活躍します。緊急時に医療用の多目的テントとしての活用も可能。処置する設備はもちろんですが、医療従事者たちの控室、薬品等の保管場所などが求められるのですが、緊急時の場合、コストを踏まえると、医療用テントはぴったりといえるでしょう。