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農業用テントとは
なぜ農業用テントが重宝されているのか?
「膜」を利用した農業用テントは、家畜用施設やコンポスト施設(堆肥化施設)など、さまざまな用途で利用できる建築物です。膜材は採光性が高いため、日中の太陽の柔らかい光を取り入れて省エネ効果を生みます。
また、耐薬品性(耐アンモニア)の膜材なら腐食しにくいというのも農業用テントが重宝されている理由のひとつです。
農業用テントの施工事例
大型家畜用パビリオンの巻くファザード
家畜用の大型パビリオンに膜ファザード(建物の外観を膜材で覆う工法)を取り付けた事例です。施工を担当したのは自社で膜材を開発している太陽工業株式会社。オーストラリアで毎年開催されている農業祭のプロジェクトの一環として、膜ファサードを設計・加工・施工しました。建築家と入念に連携を取り、膜のディティールや溶着のディティールの細部にいたるまでこだわったそう。また、膜ファザードには丸型の窓(ポートホール)がたくさん設置されており、動物や来場者が開放的に過ごせるよう工夫されています。
この膜ファザードは見た目の美しさや機能性が評価され、オーストラリア軽量構造協会のガラスおよびファサード部門で「優秀賞」も受賞しています。
テント牛舎
山口産業株式会社の新製品である「膜構造畜舎」のテント牛舎が建設された事例です。「薄い膜を使うのに、安全性は大丈夫なの?」という疑問をもつ方もいるかもしれませんが、こちらは特定畜舎基準(国土交通省告示第474号)と膜構造建築物(国土交通省第666号)にのっとった頑丈な畜舎となっています。
膜材にはメッシュ素材を採用した、透光性と風通しのいい牛舎です。側面にはジャバラ式カーテンを取り付け、開閉も容易にできる仕様。また、屋根部分を傾斜にすることで、雨や雪が溜まるのを防ぐ対策もされています。
コンポスト施設(堆肥化施設)
こちらは山形県に建てられた5,000m2のコンポスト施設(堆肥化施設)の事例です。施工を担当したのは山口産業株式会社。コンポスト施設とは、家畜の糞尿や生ごみ、農業廃棄物を分解して堆肥にする施設のこと。エコ活動の一環として全国的に拡がっているんです。農業テントの膜材は耐薬品性に優れており、アンモニアにも強いため、このようなコンポスト施設にも向いています。
そのほか農業用テントの種類
上屋テント
上屋テントといえば、日差しや雨を除けるためにイベントや運動会などのシーンでよく利用されるもの。牛舎をはじめ、農業用の作業場としても利用できます。
カーテンを取り付けたり、一部に壁を取り付けたりするだけで応用範囲が広がるのが嬉しいポイント。基本構造は鉄骨の骨組みと屋根だけなので、短工期・低コストという魅力もあります。防犯性はないため、何かを補完する目的では使えませんが、荷捌き用や通路用テント、資材の仮置場として利用できるでしょう。
シートコンテナ
シートコンテナは、特殊なシートをコンテナ内部に取り付けたり、覆ったりして使用します。設置場所の景観に配慮したり、荷崩れを防いだりする役目を持っており、運搬作業にも役立ちます。シートには通気性に優れた素材や不燃素材、メッシュなど、用途によって使い分けが可能。また紫外線に強く、害虫や害鳥から収容物を守る働きも持っています。
パイプハウス
パイプハウスは、農業用・育苗用・保管庫などに利用されています。ビニールハウスとの違いは、骨組みが丸パイプのみでできているところ。また、ビニールハウスは被覆材が軟質フィルムのみであることが条件です(※パイプハウスは軟質・硬質や各種ネットなど多種に及びます)。
パイプハウスは用途に応じた設計が可能。建苗を豊富に栽培できることから、育苗において必要不可欠なハウスです。