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動産総合保険
自社の倉庫で保管している商品の被害リスクを抑えられる動産総合保険の仕組みや保証内容についてまとめました。
動産総合保険とは?
動産総合保険は、什器や機械・器具、楽器などを商品をはじめとする動産を対象とする総合保険です。運送中、保管中、もしくは展示中の事故や破損に対応します。
動産総合保険の概要
動産総合保険は、4種類の契約に分かれます。
商品在庫品包括契約
保険の対象となるのは、卸売業者、販売・小売業者などの流通過程にある商品・製品・在庫品です。保管中だけでなく、運送中の事故にも対応しています。流通過程については必ずしもすべての流通過程が補償の対象としなくてはいけないわけではなく、必要であれば補償の範囲を限定することも可能です。さらに、在庫高に応じた保険料での契約を行うこともできるので、フレキシブルな運用ができます。
特定動産契約
動産に、まとめてではなく個別に保険をつけられる契約です。保険の対象となるのは、建設現場で使用する建設機械、病院などで使用する医療機械などの事業用の動産、カメラや楽器といった生活動産などです。こちらも、保管中だけでなく運送中の事故にも対応してくれます。
現金・小切手契約
名前の通り、現金や小切手などを対象とした契約です。火災や盗難、その他の偶発的な事故による損害を補償してくれます。この契約でも、店舗や事務所で保管しているもの以外にも、運送中の事故にも対応してくれます。
展示契約
展示会や見本市に展示する物品を対象とした契約です。展示中の事故による損害以外にも、会場と保管場所の往復中の事故による損害にも対応してくれます。また、契約は展示会ごとの契約のほか、通年でまとめての契約も可能です。
動産総合保険の対象にならないものは?
さまざまな種類の物品を対象とする動産総合保険ですが、すべての物品が対象となるわけではありません。すでに他の保険の対象となっているものは、動産総合保険の対象となりません。
動産総合保険の対象とならないものとして代表的なのは、自動車・船舶・航空機、組み立て中の機械や設備となります。自動車をはじめとする乗り物には、それぞれ自動車保険、船舶保険、航空機保険があるのでそちらが適用されます。組み立て中の機械や設備については、組み立て保険があります。したがって、動産総合保険はこれらの物品については適用されません。
なお、倉庫業を営んでいる企業または個人が、冷凍・冷蔵物を保険の対象に加えることは可能となっています。ただし、動産総合保険の補償内容は保険会社によって異なるので、冷蔵物を取り扱っている場合には、それが保険の対象になるかどうかをいちど保険会社に確認しておくのが良いでしょう。
動産総合保険の対象となる災害の種類は?
倉庫内の資産に損害を与える災害やトラブルには、たくさんの種類があります。また、そうした事故が起こる状況にもたくさんの種類があります。ここでは、動産総合保険の対象となる災害やトラブルの種類とその状況について見ていきましょう。
まず、動産総合保険の対象となる災害やトラブルは、火災をはじめ、台風、水濡れ、盗難、破損、交通事故などと多岐にわたります。逆に動産総合保険の対象とならない災害や事故は、別途地震保険がある地震、台風・暴風雨・豪雨等による水災くらいです。また、災害や事故が起こった状況については、保管中に加え、対象となる物品の運送中、展示中も含まれます。
実質的に、動産総合保険の補償対象は、火災保険とほぼ同じと考えていいでしょう。そのため、場合によっては動産総合保険以外の事業活動総合保険や店舗総合保険などの保険のほうが適しているケースもあるのです。
動産総合保険が適切なケース
前述の通り、倉庫に保管している物品や保険の対象となる状況次第では、動産総合保険以外の保険を用いたほうが良い場合もあります。しかし、どの保険を用いるのが一番いいかはなかなかわからないもの。そこで、ここでは動産総合保険を用いるのが適切なケースをまとめてみました。
動産の製造・保管・運送・販売のほとんどを自社で管理している
運送業者や製造業者を使わず、対象となる動産の製造、管理、運送などを自社で行っている場合は動産総合保険が適しています。この場合は、動産総合保険を用いれば、商品や材料品の仕入れから管理までをすべてカバーできるからです。
製造や運送に外部の業者を用いている場合は、いずれもその外部の業者が責任を負うことになります。そのため、オーナーや企業は店舗や事務所などをカバーすればいいので、動産総合保険ではなく各種の火災保険を用いるほうが適しています。
高価な動産を扱っている
骨董品や金などの貴金属、美術品などの高価な動産を扱っている場合も動産総合保険が適しています。なぜなら、火災保険では30万円を超える物品は申告が必要で、100万円を越えれば保険の対象外となることもあるからです。また、盗難による被害は火災保険の対象外となっています。
多額の現金・小切手を保管している
多額の現金や小切手を保管している場合は、その金額を確認しましょう。火災保険では保険の対象となる業務用現金の上限は30万円までとなっているので、それを超える金額なら動産総合保険が適しています。なお、現金・小切手を保険の対象とする場合は、事務所に保管されている現金・小切手のほか、金融機関へ運送中の現金や小切手も対象となります。
自動車・船舶・航空機以外の動産をリースに出している
火災保険では、店舗や事務所にない動産は保険の対象になりません。したがって、自動車・船舶・航空機を除く動産をリースに出している場合は、火災保険ではなく動産総合保険のほうが適しています。リースに出している動産に動産総合保険をかけておくことは、動産の持ち主だけでなく、借り主にとっても安心してリースされている動産を使えるというメリットがあります。
動産によって保険を使い分けよう!
動産総合保険は、動産の種類によって適切な保険は異なります。そのため、保険を選ぶ際にはまず自分の持っている動産と保険の内容を照らし合わせることが大切です。必ずしも動産総合保険が有効とは限りません。