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物流総合保険
倉庫の建築を検討している人や、自社倉庫で保管する商品のリスク対策を考えている人に向けて、物流総合保険の仕組みや保証内容についてまとめました。
物流総合保険とは?
物流総合保険は、原材料・部品・製品・半製品などを対象とした保険です。保管中だけでなく、輸送中あるいは加工中のアクシデントも保険の対象となっています。オール・リスクで対応できるので、別々に保険を手配する必要がありません。
主要な補償内容
物流総合保険では、火災・爆発・風災・水災・破損・盗難などといった、偶発的な事故や災害によるほとんどの被害を保障してくれます。
日本国内に限り、保管中、自社工場での加工中の物品はもちろんのこと、委託加工工場で加工中の製品も補償の対象となります。
支払われるのは臨時費用保険金、残存物取片付け費用保険金、検査費用保険金、再梱包費用保険金となります。
補償の対象とならないもの
貨幣・紙幣といった金銭、有価証券、貴金属、宝石、美術品、宝石類、骨董品、1点あたり30万円以上の高級毛皮、高級呉服は物流総合保険の対象外です。
また、自動車、リース・レンタル品、什器類、個人の資産、輸出目的の貨物も対象外となります。
補償が制限されるもの
物品は補償の対象ではあるものの、補償内容が制限されます。
野積み貨物・完全に覆われていない状態で輸送されている間の貨物
火災、爆発、もしくは輸送用具の衝突・転覆などといった特定危険に該当する状況で生じた損害にのみ保険金が支払われます。また、これを「特定危険担保条件」といいます。
ばら積み貨物、生鮮食料品、植物
特定危険担保条件および、輸送用具1台ごとの盗難・不着が起こった場合に限り保険金が支払われます。
生動物
特定危険担保条件によって対象となる動物が死亡した場合にのみ、1頭ごとにつき保険金が支払われます。
中古機械・中古建機
錆損、擦損、かぎ損、まがり損およびへこみ損による破損は保険の対象になりません。輸送中・保管中・加工中・搬入作業中に生じたことが明らかな破損のみ、保険の対象となります。
冷凍・冷蔵・保冷状態の貨物、定温管理されている貨物
温度変化によって生じた劣化、腐敗などは保険の対象となりません。ただし、温度管理を行う設備の破損・故障による温度変化が1時間以上発生したことが原因である場合、貨物を冷蔵・冷凍するためのコンテナの破損・損壊が原因である場合、火災や爆発、交通事故などが原因である場合は保険の対象となります。
オプションのセットによって補償範囲を拡大可能
物流総合保険は、あとからオプションをセットすることで保証の範囲を拡大することができます。以下に、代表的なオプションを記載します。なお、セットできるオプションの種類は保険会社によって異なる可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
残存物取片付け費用
損害の対象となる貨物の破片や残骸などといった残存物の片付けに要した費用を、1回の事故につき300万円を限度額として保険金が支払われるオプションです。「片付けに要した費用」の定義は、「保険会社の承認を得て支出された取り壊し費用、取片付け清掃費用、搬出費用および廃棄費用」となっています。
この「片付けに要した費用」には、公道を除く土壌、大気、水路、海、川、湖沼からの除去費用、洗浄費用、清掃費用、搬出費用、廃棄費用は含まれていません。
臨時費用
貨物に損害が生じて保険金が支払われることが決定した際に、臨時に発生した費用に対して臨時費用保険金が支払われるオプションです。金額は、1回の保険事故につき、貨物に生じた損害により支払われる保険金の10%もしくは200万円のいずれか低い額が限度額となっています。
検査費用
貨物に損害が発生しているかどうかを検査する際に生じた費用に対して保険金が支払われるオプションです。保険金の支払対象となるのは、検査・仕分・再梱包に実際に要した費用です。金額は、1回の保険事故につき300万円が限度額となっています。
適切な保険を選ぼう
物流総合保険は、さまざまな損害に対して保険金の支払いが受けられる非常に便利な保険です。しかし、すべてのケースで物流総合保険が有効であるとは限りません。倉庫で保管・管理されている物品は多岐にわたるので、ものによっては物流総合保険以外の保険を適用したほうがいい場合もあります。まずは、自社の倉庫で取り扱う物品に適した保険を見つけることが大切でしょう。また、物流総合保険はあとからオプションを追加することで補償内容の拡大が可能です。
また、どの保険を適用するのがいいかは倉庫の規模によっても変わってきます。特に、新しく倉庫を建てる際には、その費用も加味して保険を選ぶ必要があります。倉庫の種類は概ねテント、プレハブ、システムの3つに分かれます。そこからおおよその費用、工期、耐久性を導き出して、保険と照らし合わせて適切な保険を選びましょう。