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体育館建設
体育館の建設方法は?
体育館の建設方法は在来工法だけではありません。選択肢にはシステム建築、プレハブ建築、テント建築もあります。ただし体育館の規模にもよりますが、一定スパンで柱が必要となるプレハブ建築では体育館の広大なスペースを無柱で作り出すのは難しいかもしれません。とは言え、ここでは在来工法以外の3つの工法におて耐用年数・建築費用・工期・デザイン・耐久性能の5点を比較してみました。
システム建築 | プレハブ建築 | テント建築 | |
---|---|---|---|
耐用年数 | 30年以上 | 20年以上 | 15年〜20年 |
建築費用 | 在来工法に比べるとかなり安価 | 規格化されているのでシステム建築よりも安価 | システム、プレハブと比べいちばん安価 |
工期 | 2ヶ月〜 | 〜3ヶ月 | 〜2ヶ月 |
デザイン | 無柱空間を大きくとれるので体育館建設に向いている。内部の設計自由度も高い | 規格化しているので設計自由度が低い。また無柱空間のスパンが狭い | デザインの自由度が高く、新しいデザインも生み出しやすい |
耐久性能 | システム化され製造される建築材は高品質で耐久性も高い | 規格化されているので総じて耐久性は高い | テント膜自体の耐久性能は他に比べ低いが、天候条件などに合わせた仕様はある |
システム建築による体育館建設の特性
教育施設、スポーツ施設などは自治体が管理することが多く、多くのコストをかけられない案件が多いのが実情。システム建築、プレハブ建築、テント建築の方が、在来工法よりもコストパフォーマンスが高い建築法と言えます。
ここではシステム建築を取り上げますが、システム建築は在来工法と比べても耐久性で劣らないことが特徴。それでいてコストも安く工期も短いとなると教育施設等にはうってつけの工法ではないでしょうか。
ここではシステム建築で体育館を建設するメリットとデメリットをお話しします。
メリット:建築費用が安いが耐久性は高い
前述しましたが、システム建築は在来工法と比べても耐久性は全く劣りません。規格化されシステムで部材の製造が一貫してできるため、建築コストが大幅にダウンできます。また、建築現場でも部材の加工はほとんどないので、大工さんの技術にかかる比重はかなり少なく、ベテラン職人じゃなくても組める上に品質の一定化を図れるのが特徴です。
メリット:工期が短い
建築現場では工場で製造されたパーツを組み上げるのがメインの作業となります。したがって、複雑な加工などなく作業の効率、スピードはとても早い。このことで工期の大幅な短縮が実現します。工期が短ければ、もちろん工賃も安くなるという流れ。
メリット:大きなスパンで無柱空間を作れるから体育館にはぴったり
システム建築は骨組み部分に強度のある部材を使用することで、大きなスパンで無柱空間を実現させることができます。これはプレハブ建築では難しいこと。体育館は中央に柱があってはダメな建物なので、システム建築がふさわしいと言えます。
デメリット:自由なデザインはできない
システム建築は建築部材が規格化されています。したがってデザイン面での自由度は低いと言わざる終えません。しかし、システム建築と組み合わせたオーダーメイドできる商品もメーカーによっては持っていますのでチェックしてみてください。
体育館の建設事例
体育館建設の事例1
画像引用元:太陽工業株式会社公式サイト
( https://www.taiyokogyo.co.jp/use_list/index.php/item?list=1&cell003=膜構造建築物&page=3&cell004=スポーツ施設&name=本庄総合公園体育館&id=29&label=1)
埼玉県本庄市に建設された本庄総合公園体育館のドーム部分のテント膜を太陽工業が手掛けました。
使われているテント膜材はガラス繊維にふっ素樹脂PTFEを含浸させ焼成したもの。耐熱性を持ち、透過性が高いにもかかわらず紫外線を通し難く、また、撥水性、耐候性、非粘着性など多くの機能性を持っています。また、吸音性があるのも特徴のひとつ。内部の音を外に漏らしにくい膜材です。そしてセルフクリーニング機能も有しています。ふっ素樹脂が雨のたびにホコリや汚れをきれいに洗い流してくれます。なので何年経っても汚れが少なく、見すぼらしく見えないのが魅力です。
何より、夜間の写真を見てわかる通り、透過性が高いので、テント膜分のみ内部の明かりが優しくふんわりと漏れていて美しいのです。
体育館建設の事例2
画像引用元:太陽工業株式会社公式サイト
( https://www.taiyokogyo.co.jp/use_list/index.php/item?cell003=TMトラス&cell004=スポーツ施設&label=1&name=静岡市立高等学校体育館&id=264)
太陽工業の製品であるTMトラスで建築された体育館(屋根部分)です。TMトラスとは通常使われる鉄骨の半分程度の重量しかない屋根構造なので、柱等への負担が減りより耐震性能が高まる構造です。また、合理的な応力の関係で組まれている構造なので、大きなスパンでも柱を少なく屋根構造を実現させることができます。柱が少ないことで、開放を感じられる建築物となるのです。
体育館建設の事例3
画像引用元:太陽工業株式会社公式サイト
( https://www.taiyokogyo.co.jp/use_list/index.php/item?list=1&cell003=TMトラス&cell004=スポーツ施設&sort=&order=&page=1&name=龍ヶ崎市総合体育館及び室内温水プール&id=265&label=1)
こちらもTMトラスによって設置された天井部。TMトラスは物件に合わせる施工計画ができます。写真のように、天井が波打つような形状の場合でも問題なく合わせることが可能です。このTMトラスとはシステム化された工法です。構造体は主にパイプとグローブをつなぎ合わせる連続体です。そのパイプとグローブは現場で手組みできます。かつ、運搬、組立、管理がしやすいので作業効率がとてもいいのがメリット。施工期間は通常の工法に比べて大きく短縮できるのです。
体育館建設の事例4
画像引用元:株式会社横河システム公式サイト
( https://www.yokogawa-yess.co.jp/archives/production/0219)
国立山形大学の体育館を建設しました。株式会社横河システム建築のカスタムシリーズという製品です。このカスタムシリーズは横河システム建築が独自に構築したyessシステム建築を基本にして、かつ拡張しフレキシブルに対応できるもの。規格化された仕様を基本ベースとして用い、そこからオーダーメイドで依頼者の希望通りに建築するものです。オーダーメイドできるのにもかかわらず在来工法と比べると工期は短く、また安価に建てることができました。
体育館建設の事例5
画像引用元:郡リース株式会社公式サイト
( http://www.kohri.co.jp/works/20130725_000548.shtml)
埼玉県の市立大学の体育館。郡リース株式会社ではプレハブ建築とシステム建築を明確に分けていません。自社で独自に規格化したシステムを使っています。製品も事務所などに使うようなプレハブ建築物から、最大60mスパンで無柱空間を作れる、他社でいうところのシステム建築まで依頼者の要望に合わせて適宜、提案をしています。
体育館を建てる前に押さえておきたいポイント
耐震性は必須
学校施設は震災時などの避難場所となります。したがって、耐震性の確保はとても重要。平成15年には文部科学省で「学校施設耐震化推進指針」が策定され、学校施設の耐震化への基本的な考え方、及び、耐震化推進計画の策定方法と留意点を提示しているので確認が必要です。