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屋内プール建設
プールの建設方法は?
学校のプールなど屋根のない剥き出しのプールが一般的でしたが、ここ数十年でそのイメージは変わりつつあります。プールにおいて大事なのは水質の保持。その観点から考えると、屋外プールはとても水質の保持が難しいプールとなっています。近年はプールに屋根をつける、あるいはプール全体を建築物で包んでしまうプールがスタンダード。ゴミはもちろん、大気中にある農薬などの汚染物など外部からの飛来物をシャットアウトできます。そのことで水質の保持が楽になるのです。また、落ち葉が入ってしまうことなども防止でき、清掃という観点からもメンテナンスの負担を軽減しています。
屋内プールを建設する際はシステム建築、プレハブ建築、テント建築の3つの選択肢があります。耐用年数・建築費用・工期・デザイン・耐久性能の5点から、3つの建築方法を比較してみました。
システム建築 | プレハブ建築 | テント建築 | |
---|---|---|---|
耐用年数 | 30年以上 | 20年以上 | 15年〜20年 |
建築費用 | 在来工法より安価だが、プレハブ、テントに比べると高価 | 規格品なので安価 | システム、プレハブより安い |
工期 | 2ヶ月〜 | 〜3ヶ月 | 〜2ヶ月 |
デザイン | 外観などのデザインの選択肢は少ないが、広大な無柱空間を作れる | 規格に合わせた建築。一定のスペースごとに柱が必要 | デザインの自由度が高く、プールにも適している |
耐久性能 | 耐久性の高い建築部材を使用 | 総じて耐久性は高い | 他の建築に比べれば耐久性能は低いが、気候条件に合わせた仕様ができる |
テント膜の屋内プールの特性
テント膜を使った屋内プールが増えています。低コストで短工期で屋内プールを作れるのがテント建築のメリットです。また、もともとは屋外プールだったものにも、それをテント膜で覆うだけで屋内プールへ簡単に変身させるということも、他の工法よりも手軽にできます。それだけでなく、屋内プールの建設にテント建築を採用するのは、他にも複数に及ぶメリットがあるからに他なりません。ここではテント膜の屋内プールのメリットと、デメリットを考えてみましょう。
メリット:透過性が高い
他の建築の場合屋根に透過性はありません。無理してガラス製などにすれば透過性は出せますがそれにはコスト、そして構造上の問題をクリアする必要があります。テント膜材、特にプールなどに使われる膜材の透過率は約10%~60%と言われています。これは日中ならば照明がいらないほどのレベルの透過性です。また、テント膜を光が通ることで光を拡散させる働きを持った膜材もあります。このことでプール全体に光が送られるのです。
メリット:紫外線を遮ってくれる
光を通しつつ紫外線は通さないということが可能になります。例えばスイミングスクールなど子供たちが多く使う場所の場合は、かなり安全に利用できるので保護者にとっても安心ですよね。
メリット:地震に強い
テント膜材は軽い。それは他の建築素材と比べての話。さすがに手で持てるほど軽くはないが、他の建築素材と比べれば大きく軽さが違ってきます。それはすなわち地震などの時の負荷が少ないということ。地震にはとても強い建築方法だと言えます。
メリット:サビなどに強い
プールで心配なのが塩素によるサビ。しかしテント膜材は多くの耐薬品実験を施され選ばれたものを使っています。また、骨組み部分は鉄骨ですが、メッキ仕上げが施されたものが使われるのが一般的。サビには強いのです。
メリット:汚れに強い
テント膜材は雨風にさらされ汚れもつきやすい。しかし昨今のテント膜材は進化しており、汚れがつきにくい性質を持ったものが多くあります。むしろ、自浄作用をもっている。雨などで自らセルフでクリーニングをしてくれる作用です。したがって防汚性が格段に高まっています。
メリット:低コスト
テント建築はシステム建築やプレハブ建築に比べコストが低いことがいちばんのメリットかもしれません。それでいて、耐用年数などが大きく劣ることもない上に、定期的にメンテナンスが必要ですが、なによりメンテナンスがしやすい。何十年と長期スパンで考えればトータルコストはいちばん安いかもしれません。
メリット:開閉を可動式にもできる
折り畳んだり伸ばしたりと形状を変形可能なテント膜の特性を活かし、ジャバラ可動式を採用しているところが多く見られます。天気の良い日はジャバラを縮ませオープンに、雨風など天候が悪い時、あるいは夜などにはジャバラを広げてプールを覆うと、雨をしのぎ夜風を適度にさえぎることができます。
メリット:土地の条件にも合わせられる
テント膜は骨組みを組んで、そこにテント膜材を張るという構造です。テント建築は土地の形状に合わせて設置できる建築方法です。それはテントの軽くて柔らかい性質によるところ。例えばすでにある屋外プールにテント膜を張るとするならば、元からあるプールの形状にぴったりフィットさせる形でテント膜を張ることがたやすくできるのです。
プールの建設事例
プール建設事例1

画像引用元:太陽工業株式会社公式サイト
( https://www.taiyokogyo.co.jp/use_list/index.php/item?cell003=TMトラス&cell004=スポーツ施設&label=1&name=龍ヶ崎市総合体育館及び室内温水プール&id=265)
龍ヶ崎市総合体育館及び室内温水プールを手掛けました。独自のTMトラスで、天井部にデザイン性を持たせた緩やかなカーブを描いていますが、テント建築の特性上、複雑な構造を組まなくても実現するのです。
屋内プールを建てる前に押さえておきたいポイント
塩素によるサビについて
屋内プールを建築するにあたり考えなければならないことのひとつが塩素によるサビの問題。建築会社がプールを建設する実績を持っているのならばどの工法でも、サビの対策はなされると思います。サビの対策に伴い、定期的な再塗装などのメンテナンスは欠かせません。そのコストも見越した上で建築方法を選択する必要があると言えます。