使える倉庫を建てたい会社の 【倉庫建築工法】比較ガイド
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倉庫や工場の暑さ対策や空調管理の解決策

熱中症による死亡者数は年間1,500人以上

近年の夏は年々過ごしにくくなっています。気温が35度を超える日が多く長期化していて、熱中症で倒れた方や亡くなった方のニュースが連日流れています。

厚生労働省によると、平成30年に熱中症で死亡した方は1,500人以上。ここ数年は400〜500人台で、1,000人を超えたのは過去10年でも平成30年のみだそうです。夏場の平均気温は、100年間で最高気温が1.5℃、最低気温が2.7℃も高くなっています。

「1〜2℃なら大したことはない」と思われるかもしれませんが、ご自身の体温が1.5℃上がったと考えるといかがでしょうか。熱中症になりやすいのは高齢者や乳幼児が多くあげられますが、健康な成人でも体調が悪い日や、運動や労働の程度によっては熱中症になってしまうケースがあります。職場での熱中症による死亡者数も昨年の2倍となっており、とくに空調が効きにくい倉庫や工場では、熱中症対策が急務となっています。

倉庫の中は40℃!その原因は?

空調設備があっても広い倉庫には効果がない?

真夏日の倉庫や工場内の気温は、空調設備がない場合は40〜45℃まで上がります。人が健康で過ごしやすい環境とは程遠く、人的被害の起こる数値というのは誰がみても明白です。さらに倉庫内は風通しも悪いため、夜になっても昼間の熱がこもったままの状態が続いてしまいます。「エアコンを導入したくてもスペースが広すぎて予算が取れない」「十分な効果がある設備を導入できない」など倉庫や工場運営による悩みは尽きません。

また空調を設置しても、倉庫面積が広く天井が高いので効果は半減。光熱費のコストは高額になり、経営者を悩ませてしまう原因にもなっています。

省エネの風潮による悪影響

エアコンをフル活用できない理由としてあげられるのが、光熱費のコスト削減です。今は「省エネ」時代のため、会社の規定でエアコンの空調設定が決められているケースもあります。また従業員の節電意識を高める目的で「デマンド監視装置」を導入する企業も多く、さらに拍車をかけている状態です。誰かが倒れてからでは遅いのですが、「省エネ、節電」と謳われている今、辛い労働状況にさらされている人は少なからず存在します。

気温上昇は倉庫の壁や屋根が原因

倉庫や工場内の気温が異常に暑くなるのは、その構造が原因ともいわれています。倉庫のような建物で広く使用されている折板屋根は、夏場の表面温度が70℃近くまで熱せられてしまい、熱くなった空気が屋内に滞ってしまうのです。溜まった熱は倉庫全体に広がり、時間が経つごとに上昇してしまいます。一般的な倉庫は間仕切りがなく天井も高いことから、空調を取り付けてもあまり効果が得られない場合も。また倉庫や工場の立地条件として、周りに影を作ってくれる建物がないことが多く、広い屋根全体が直射日光を何時間も受ける環境になっています。

倉庫内の適切な気温の上限値は26℃

夏場における倉庫内の温度については理解いただけたと思いますが、適切な温度はどのくらいかご存知でしょうか。厚生労働省は、身体作業強度に応じた「WBGT基準値」という値を定めています。WBGT(暑さ基準値)では、倉庫内における作業に適切な気温は26〜30℃です。現実との差は歴然で、その差を埋めるための企業努力や指導が急務となっています。

具体的な倉庫の暑さ対策

水分補給

暑さ対策としてもっとも多くあげられるのが水分補給です。夏が近づいてくると、経口補水液のコマーシャルもよくみかけますが、誰もが簡単にできる熱中症対策といえます。暑い環境での作業は、大量の汗をかいて体の水分が失われ、水分補給が追いつかずに熱中症になるケースもあります。意識的にこまめな水分補給に加え、1時間に1度は休憩をとるといった配慮が必要です。

空調服

空調服とは、洋服のなかに小さな扇風機のようなファンが組み込まれている作業服のことをいいます。着衣内の空気を循環させて、暑い環境下でも涼しく作業を行えます。作業着とセットで、ファンやバッテリーの購入も必要なため、一着あたりの値段は2万円程度(商品により異なります)とやや高め。しかし空調服を導入したことにより作業効率アップが図れたという声もあります。近年では空調服を採用する企業が増え、取扱メーカーやデザインも豊富になっています。

スポットクーラー

広い倉庫内で気温を下げるにはスポットクーラーを使用するのもひとつの対策です。スポットクーラーとは、移動ができるエアコンのようなもので、設置した場所をスポット的に冷やしてくれる効果があります。しかしエアコンと違い、スポットクーラーは室外機と一体になっているため、機械から冷たい空気と暖かい空気が同時に排出されてしまいます。つまり室内の温度を下げる装置ではなく、どこか一箇所のみを限定的に冷やしてくれるという仕様になっています。

大型扇風機・シーリングファン

大型扇風機は費用も安く、排熱の心配がないというメリットがあります。またエアコンと比較すると光熱費も安く抑えられるのが特徴です。しかし商品に風が直接あたってしまうので、軽量物や精密機械を取り扱っている場所では使用できません。

シーリングファンは天井に取り付ける扇風機のことをいいます。ファンを回転させれば、倉庫内の空気を循環させることが可能です。さらにエアコンと合わせて利用すれば、冷たい空気を倉庫内に送ってくれる効果も発揮します。シーリングファン自体は電気代もあまりかからないため、コスト面でも優れている商品です。ただし天井への設置は工事費がかかってしまうというデメリットもあります。

屋根用スプリンクラー

スプリンクラーを利用して屋根に水をまくことで、水が蒸発するときに屋根の熱を奪い温度が上がるのを防ぐ効果があります。日本に古くからある「打ち水」と同じ要領です。屋根用スプリンクラーを導入して、屋根の温度が5℃も下がったというデータもあります。しかし導入には工事が必要で、水道代がかかるというデメリットも発生します。

遮熱塗料や遮熱シート

遮熱塗料は、特殊な顔料で太陽光の赤外線を反射させ、熱量を抑制するはたらきを持っています。通常の塗料と比べその温度差は2〜3℃程度。さらに屋根の寿命を長くする効果も期待できます。

遮熱シートは太陽光や建物からでる熱を遮る働きをします。夏になると駐車場で遮熱シートをしている車を多くみかけますが同じような理論です。ただし倉庫の屋根に取り付けるには工事が必要で、屋根面積の広さから費用も高くついてしまいます。さらに塗料もシートも一定の期間でメンテナンスが必要になるため、ランニングコストが発生するのが難点です。

倉庫は湿気にも要注意

倉庫に湿気が溜まってしまうワケ

倉庫内は湿気がたまりやすい場所です。その理由として、倉庫内の空気が循環されていないことが上げられます。

間仕切りが少なく天井も高いため、建物全体の空気が滞ってしまうのが問題に。保管品や資材の日焼けによる劣化を防ぐ目的で、倉庫や工場では窓の数を少なく設計しています。明りとりの窓も高い位置に設置されることが多く、簡単に手が届かないので開閉が困難といった理由も。

換気がしづらい上に湿気を外に逃がす仕組みができていないため、湿気が発生しやすい環境になっているのです。

湿気による結露はカビの原因にも

自宅のエアコンを掃除するとき、エアコン内部に黒い汚れを発見したことはありませんか?それはまさにカビです。エアコン内部に溜まった湿気が結露となりカビの原因になるワケです。同じような問題が倉庫内でも発生します。暖かく湿った空気は、外気に触れると冷やされて水滴になり結露が発生します。

湿気と聞くと夏をイメージされる方もいるかもしれませんが、梅雨時期や冬にも結露が起こりやすい傾向があります。湿気の多い環境は金属のサビの原因となり、保管品の品質維持も困難です。さらには悪臭を発生させ従業員の精神面や健康面にも害を及ぼすといった悪循環を繰り返してしまいます。掃除をしても何度もカビが発生するようであれば、根本的なカビ対策が必要です。

カビが引き起こす病気とは

湿度が60%を超えるとカビが発生しやすい環境になり、80%を超えると速いスピードで繁殖します。カビは資材だけでなく、そこで働く従業員の身体や精神面にも悪影響を及ぼします。カビは目にみえて不衛生なので、従業員の衛生意識の低下や仕事意欲の減少などを引き起こします。

また一度生えてしまったカビの清掃は容易ではなく、強い薬剤や清掃会社への依頼といった突発的な費用も発生します。「費用がかかるから」という理由でほおっておくと、アレルギー反応を起こしたり皮膚に繁殖してしまったりと大変危険です。カビは胞子を放出し至るところで繁殖します。その胞子を吸い込んでしまうと、咳が止まらずに、ひどい場合は肺炎になるケースもあるのです。

空調コントロールができていない倉庫の保管品

食品の保管は厳重な注意のもとで行われているケースが多いですが、衣類や紙製品、電化製品を扱う場合も湿気対策は必要です。空調コントロールができていない場所で何ヶ月も保管したままですと、湿気からカビが発生してしまいます。また梱包材であるダンボールもカビが発生しやすい素材ですので注意が必要です。人も資材も居心地のいい環境設備を整えることは、倉庫や工場を運営していく上で大切なポイントになってきます。

倉庫運営における空調コントロールの重要性

倉庫や工場は一般の建物と比較して室内温度が高いことから、空調のコントロール対策は重要となるのです。さらに作業員の活動量もオフィスワークなどの座り作業と比較すればその差は歴然です。倉庫建築の計画段階では、立地や工期、建設コストが最重要しされがちですが、稼働がスタートとすると「空調管理の大切さ」に納得されるでしょう。

いちばんの湿気対策方法は空気の循環が大切なポイント、ということが理解できたと思います。カビが発生してしまうと、その作業や被害対応に業務がストップしてしまう恐れも。そうならないための対策を考えていきましょう。

テント倉庫なら湿気と気温上昇を抑えられる

暑さと湿気対策を考えるならテント倉庫

倉庫や工場が湿気をためやすい構造になっているというのは、前述の通りです。

暑さや湿気対策はあるものの、いずれもひとつの対策では不十分であったり、費用が発生したりというわずらわしい面も。そこでおすすめなのが「テント倉庫」です。「テント?倉庫?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、テント倉庫は全国のさまざまな工場や倉庫で採用されています。テント倉庫の素材は「膜」でできており、夏場の倉庫内の気温上昇を抑えてくれる働きがあります。

気温上昇を抑えるテント倉庫の機能とは

テント倉庫で使用される膜材には、さまざまな種類や機能があります。そのなかの調査結果として、白色の幕屋根の日射反射率は75%以上というデータがでています。屋根材に使用される「膜」「金属」「スレート」の3種類で体感温度を比較した実験では、膜屋根は金属と比べると1.5℃、スレートと比べると3.5℃も体感温度が低いことが証明されました。

屋根部分の温度上昇を抑えれば、結果として室内の気温が上がるのを防ぐ効果につながります。また、テント倉庫は保冷や保温倉庫として活用されている実績もあるので、空調対策で悩んでいる方にはひとつの解決材料になるはずです。近年の異常気象対策として、倉庫や工場建築には膜を使ったテント倉庫を検討してみてはいかがでしょうか。

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